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昆布だしの作り方使い方から知らなかった美容情報まで!これだけ読めば「昆布だし」がわかります

昆布だし

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昆布だしは、だしの中でも控えめでやさしく上品でうまみ豊かです。

昆布だしは単体(昆布水)でもあらゆる料理の隠し味に使えるし、昆布水をそのまま飲むことで健康美容にも利用されるほどいろんな使い方があります。

さらにかつお節や煮干しのだしとも相性よく、煮物や鍋や汁物全般に使えるとても使い勝手の良いだしです。
昆布だしを使いこなして料理のうでをあげましょう。

これだけ知ってれば失敗しない、だし昆布の種類と特徴

だし用の昆布4種

r0101-201404konbu2羅臼昆布
  • 濃厚なだしと深いコク、それに甘い香りが特徴です。だしは若干濁ります。昆布の繊維が柔らかいので濃いだしが短時間でとれます。そのままおやつ昆布として食べてもおいしい昆布です。
r0801--3 利尻昆布
  • こちらも濃厚で香り高いだしですが、羅臼昆布と違って色がほぼ透明で澄んだだしで食材に色がつかないから、料理の色も大事にする京都の懐石料理で好んで使われます。ただし、昆布の繊維質が固いので濃厚なだしを出すためには時間と手間がかかります。
r0901--2真昆布(道南昆布)
  • スッキリして甘みのあるだし。色も少し琥珀がかった綺麗なだしでクセがないので何にでも使いやすいだしです。昆布が肉厚で長さもあるので加工用としても使いやすく、佃煮やおぼろ昆布にもよく使われます。
r1001-1日高昆布
  • 甘いだしですが、やや磯の香りがあります。ほかの3種の昆布と比べるとうまみ成分が劣ります。また値段が手ごろで使いやすい昆布で、関東以北ではだしと言えばこの昆布を使います。昆布の繊維が柔らかく、だしだけでなく昆布巻きなど食べる昆布としても使いやすいです。

 

4種の昆布はそれぞれ多く使われる地域があります。日高昆布は関東以北、利尻昆布は京都、羅臼昆布は富山、真昆布は大阪で多く使われます。この現象は昆布が流通した時の経路やお水(その地域の地下水の性質)との相性で根付いたものと考えられています。

しかし、イベントでたくさんの方に4種の昆布だしを飲み比べていただくと、大阪でも利尻昆布が好きな方や羅臼昆布が好きな方もとても多くいて、今では好みが多様化してるようです。

昆布にはそれぞれ味やうまみの特徴があります。飲み比べてみると味の違いに驚かれると思います。実際に4種の昆布だしを飲んでみて、自分の好みにあう昆布を見つけてください。昆布の商品カテゴリー

だしが出ない昆布もあります

北海道の昆布の中に、だしがあまり出ない昆布があります。

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出典:北海道ぎょれん

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出典:北海道ぎょれん

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出典:北海道ぎょれん

これらは、昆布巻き用、佃煮用、おぼろとろろ、酢昆布用などの加工用に使われます。

通常ではこういった昆布は問屋や産地からメーカーへ流通するので間違って買ってしまうことはありませんが、柔らかく煮て食べる棹前昆布(長昆布のひとつ)は一部スーパーでも流通しています。

棹前昆布は「早煮昆布」「野菜昆布」という名称でも売られるので、この名称の昆布を見たときに「煮て食べる昆布で、だしには使えない昆布」と思い出してください。

ちなみに、棹前昆布は鹿児島県や沖縄県ではとてもよく食べられていて、豚肉と一緒においしく料理に使われています。

棹前昆布を使った料理の例

時短も手間いらずもある、三つの昆布だしの取り方

昆布だしの取り方には三つの方法があります。

  1. 手間いらずでおいしく作れる水出し
  2. 短い時間ですぐ昆布だしができる煮出し
  3. 水出しと煮出しのいいとこどりのハイブリッド

だし初心者にもおすすめ、手間いらずでおいしく作れる水出し

水出しは昆布をお水につけるだけでとる昆布だしです。 お水につけるだけでとても簡単なのに、雑味がなくて上品なだしが作れます。

常温または冷蔵の状態なので「昆布水」としてあらゆる料理に使っていただける昆布だしです。 ただし、だしをを取るのに時間がかかることと少し昆布にうまみが残るのが難点です。

水出しはお水に浸けるだけなので失敗することもなく、だし初心者におすすめのだしの取り方です。

水出し昆布だし(昆布水)
材料
だし昆布 約10g
1リットル
 
レシピ1

鍋やタッパにお水と昆布を入ます。

レシピ2

冷蔵庫で一晩置いてからこんぶを取り出します。麦茶用のピッチャーなどで作ると作った後も冷蔵庫に入れやすくて便利です。

 

短い時間ですぐ昆布だしができる煮出し

煮出しは昆布を煮てだしを取ります。
短時間でだしをとれるのが特徴ですが、おいしくだしを取るのに温度や時間の管理に難しいところがあります。
かつお節や煮干しなどほかのだしとの合わせだしを作るのに煮出しは便利です。

煮出し昆布だし(羅臼昆布を使った場合)
材料
だし昆布 約10グラム
1リットル
 
レシピ1

お鍋に水をはり昆布を入れて、できれば30分以上、可能であれば一晩くらい置いてから火にかけます(だいたい10分で沸騰するくらいの火加減)

レシピ2

沸騰前(写真くらいの状態になったとき)に昆布を取り出します。

 

水出しと煮出しのいいとこどりのハイブリッド

水出しと煮出しの両方の良さを合わせただしの取り方で、昆布からしっかりだしが出せるのでおすすめの取り方です。
昆布をお水につける時間は長いほど良いです。朝食の昆布だしなら前日の夜に浸けるなどがよいでしょう。

おすすめの昆布だしの取り方
材料
だし昆布 約10g
1リットル
 
レシピ1

お鍋に昆布とお水を入れてしばらく(30分くらい)置きます。

レシピ2

そのまま弱火から中火で加熱して、沸騰する前に味をみてだしが出ていれば火を止めて昆布を取り出します。

 

高級料亭でも実践している、昆布だしをもっとおいしくとる方法

これからご紹介する昆布だしの取り方は高級料亭で行われている方法と同じかそれに近い取り方です。

基本的にはいいとこどりハイブリッドで紹介しただしの取り方ですが、そこにこだわりや注意点を加えていきます。

最初に、使う昆布は天然の昆布で1年以上熟成させて昆布の繊維を柔らかくしたものを使うとよいです。理由はこのあとにある「昆布の賞味期限」で説明します。

使うお水は硬度60以下の軟水を使います。昆布はお水の硬度が高いと水分が細胞の奥へ浸透しにくくなり、細胞と細胞の間にある透明の粘りが多く出てしまいます。

関西方面の水道水は硬度60前後の軟水の地域が多いですが、関東以北の水道水では硬度が高い地域が多いので別途軟水を用意してみてください。ただし、硬度が低すぎてもだしが出ないように感じますので、硬度60ぐらいを目安にしてみてください。

昆布は海藻くささを出さないように、切れ目を入れずに使います。

昆布を水に浸け置く時間は可能なら羅臼昆布の場合丸一日、真昆布や利尻昆布の場合丸二日冷蔵庫に入れて静かに寝かせます。

火にかけるときは弱火でゆっくり温度を上げていきます。

お湯の温度は60度を超えないように注意します。温度を上げていくと昆布から透明の粘りが出ることがあります。この粘りは海藻臭さの原因になるのですが、温度60度を超えるとこの粘りがたくさん出始めます。さらに温度が上がると粘りはサラサラになるので粘りが出ていることに気が付きにくいのですが、だしに海藻臭さがついてしまいますのでお湯の温度が60度以上にならないように注意します。そのまま約1時間かけて煮出してください。

その後昆布を取り出してから沸騰させて、だしに溶けだしてしまったアクを丁寧に取り除いてください。

手間と温度管理が大変ですが、こうしてとった昆布だしはスッキリしていて濃厚でとてもおいしいだしになります。

この昆布だしをベースにかつおだしや煮干しだしを加えていきます。

昆布だしを使ったレシピはこちらをご覧ください。

昆布でよくいただく質問と回答

昆布の表面の白い粉はなんでしょう

昆布の表面の白い粉は昆布から出た栄養成分マンニットです。
だしをとるときはマンニットを落とさないように昆布の表面を軽く乾いたフキンで軽くふく程度でよいです。しかし、汚れが気になる場合は水洗いしても大丈夫です。昆布表面のマンニットを落としても昆布の中にはうまみはいっぱいあります。

昆布だしをとるときに昆布に切込みを入れたほうが良いのでしょうか

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昆布だしは昆布の切れ目からたくさん出てきます。同時に昆布の海藻臭さ(えぐみ)も出やすくなります。
短時間でだしをとる必要があるときは切れ目を入れると短い時間でだしが出ます。
しかし、水出しのように時間をかけてだしをとれる時は切れ目を入れないほうが海藻臭さのないすっきりしたおいしいだしになります。
だしをとるときの状況にあわせて使い分けてみてください。

昆布の賞味期限

乾燥した昆布は、湿気を与えることなく保存されてきた昆布であれば袋に記載している賞味期限を越えても問題ありません。

むしろ美味しくなっている可能性が高いです。

昆布のだしは昆布の細胞の中から出てきます。だしを出すには、昆布の細胞が壊れている方がよく出ます。昆布の細胞は乾燥してから時間が経つほど壊れていきますので、1年目の昆布より2年目の昆布の方がおいしくなります。

繊維質(細胞)の堅い昆布では3年以上寝かしてから使う昆布もあります。ただし、昆布の種類によってはあまり寝かせ過ぎるとだしが濁ってきますので注意が必要です。経験的にはだいたい1年寝かせた2年から3年目くらいの昆布がおいしいように思います。

だしソムリエがいる当店では仕入れて昆布を寝かしてから販売しています。こちらの昆布は2年目、こちらの昆布は3年目の昆布を販売しています。(2016年2月現在)

昆布の上手な保存方法

昆布は水分を与えなければ数年保存可能です。水分を与えないように封ができるナイロンやタッパーに入れておくとよいです。かつお節や煮干しと違って冷蔵庫に入れる必要もありません。錆びるので鉄でできたものは使わないほうが良いです。

カビとマンニットの見分け方は?

昆布にカビが生える条件に水分があります。乾燥している状態ではカビが生えることがありません。昆布が白くなっていても乾燥していればそれはカビではなくマンニットです。昆布が湿気ている場合は白いものはカビの可能性があります。カビの場合はカビ特有のにおいがします。においをかいでみてカビ臭さがあればその昆布は使わないでください。

昆布の賞味期限やカビとマンニットの見分け方など、写真を加えて詳しく紹介しているこちらのページも参考にして下さい。

昆布にも「養殖」があるのですか?

一部の昆布は養殖でも作られています。特に道南昆布・利尻昆布・羅臼昆布など高級だし昆布は盛んに作られていて、今では天然より養殖の生産量の方が多くなっています。

養殖昆布は天然より大きく立派で見た目も綺麗な昆布が多いですが、だしをとった時の味は天然に及びません。特に羅臼昆布に関しては天然と養殖の味の差が大きく出ます。

お店に並んだときに天然の昆布は間違いなく『天然昆布』と書いて売られますが、養殖は『養殖』とは書かず、天然・養殖の表記をせずに販売していることが多いです。天然・養殖の表示義務がないので裏面の原材料欄にも天然・養殖の記載はありません。

商品に「天然」と書いていなければ養殖と思っていただいて、ほぼ間違いないでしょう。

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便利な昆布水

水出しでとった昆布だしは常温または冷蔵状態の昆布だしですので、お水の代わりに使うことができます。

料理を作るときにお水の代わりに昆布水

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出典:www.ozmall.co.jp

昆布水は上品でクセがなくてそのまま飲めるくらいです。そんな昆布水を料理で使うお水の代わりに昆布水を使うと、料理の味を昆布のグルタミン酸がおいしくしてくれます。

例えばパスタを茹でるお水に昆布水を使ってみたり、カップラーメンのお湯を昆布水に変えてみたり、ご飯を炊くときのお水を昆布水にしてもおいしくなります。

昆布水は冷蔵状態で1週間ほど日持ちするので一度にたくさん作っても大丈夫です。もちろん普段の料理のだしにも使えて作るのに火も使わないので暑い夏なんかにいいですよ。

美容健康のために飲む昆布水

「根昆布をお水に浸けて飲むと健康になる」と聞いた事があると思います。

昆布水にも根昆布水と同様に水溶性食物繊維、アルギン酸、フコイダンという健康や美容に効果がある栄養分が含まれています。これらの栄養分は加熱すると分解してしまうので冷たいままの昆布水を飲むことで効果を得られます。

昆布水の美容効果としてはデトックス効果、血流をよくすることでむくみの解消、また肌に直接つけることで美白やシミを目だなくする効果が期待できます。

以前販売していたがごめ昆布化粧水では妻の手の甲のシミが薄くなりましたし、デトックス効果は店主が実際に体験しました。

健康効果には塩分を減らす効果と血圧の正常化、コレステロール低下、整腸効果などが期待できます。

飲み方はかんたん。作った昆布水を一日にコップ一杯飲むだけ。キレイになれる昆布水を料理だけに使うのはもったいないですよ。

昆布水の作り方は上で書いた「手間いらずでおいしく作れる水だし」でOK!

昆布水作りの昆布には濃厚でコクのある羅臼昆布が向いています。羅臼昆布には天然と養殖があります。味、うまみとも天然と養殖の差が大きいので、購入する際ははっきりと「天然」と書いているものを選びましょう。(ティーパックに入った天然羅臼昆布はこちらです)

だしをとったあとの昆布の再利用

昆布(特に水出しした昆布)は2回目でも十分だしが出るので二番出しをとってみてください。

冷凍庫で保存して溜まったら佃煮を作ることもできます。

細く切ればこんなふうに料理の具材として使っていただけます。

昆布には必須ミネラルがたくさん含まれているのですが、それらのミネラルは残念ながら昆布だしでは取ることができません。

海の野菜とも言われる昆布は食べる事で有効に美味しく使えますので、ぜひ食べてみて下さい。昆布屋の家ではあんかけで紹介したようにだしをとった後の昆布を食べやすい大きさにして具材にすることが多いですよ。

昆布だしについてできるだけ詳しく書いてみました。三つのだしの取り方や保存方法、カビとマンニットの話などご参考になることがありましたら嬉しいです。

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